ナビトラマップやUI-DIGIのために、タスコのTNC-22などをヤフオクで探すと、結構いい値段がするんですよね。
ちょっと、競り合いが激しいと5,000円を超えたりするときがあります。
私は、ナビトラを始めてたときからずっとPK-80で運用しています。
PK-80ならちょっとした改造でナビトラやUI-DIGIに利用できますし、なにしろ相場が安いです。
今でも、ヤフオクで平均で1,000円台です。2,3年前には100円で落札したこともあります。
ただちょっと気を付けないといけないのは、RAM増設を行ってROM(PK-80ではEPROMを使っています。以下ROMと表記します)のバージョンアップをやっておく必要があります。
もうひとつ、BTEXTに8バイト文字が使えないということです。
前者は少し電子回路をいじった事のある方なら改造可能です。後者は、カタカナや漢字はあきらめてローマ字で表記することでネグることができます。
これまで、4台のPK-80を改造してきました。ナビトラマップ、UI-DIGI、KingGate、AGWTRACKERにおいていずれも快調に動作しています。
今回5台目を入手(ヤフオクで1,200円)しましたので改造方法をまとめてみました。
まず、PCとRS-232Cで接続して動作確認をしておきます。古い物ですから、バックアップのバッテリーが不良になり、リセットがかかっているかもしれません。デフォルトはparity 3、awlength 7になっています。
parity 0、awlength 8で文字化けをする場合はターミナルソフトの設定を変えてみてください。
動作確認ができたところで、ケースを開けて基板をとりだします。PK-80は20年以上前の古い物ですからほこりなどをこの時点でブロワーなどで吹き飛ばしておきます。
改造ポイント1:RAMの増設
PK-80は標準で16K(64kbit×2)のSRAMが乗っています。これを32kに増設しておきます。
ナビトラマップやUI-DIGIはRAMが32k必要です。
使用するRAMは標準的なDIPタイプが入手しにくいので(価格が高い)のでフラットタイプ(1.27ミリピッチ)のものを利用します。秋月電子で5本で300円でした。(エプソン製SRM2B256SLMX55) これを1.27
ミリピッチ→2.56ミリピッチ変換基板でDIPサイズにします。(サンハヤト製ICB-010、3枚分で420円@サトー電気)
まず、基板上のRAMを取り外します。もう使わない物なので思い切ってニッパでリード線を切ってしまいます。後処理は残ったリード線を引き抜き、ソルダスポイトでハンダ面をきれいにしておきます。(U25だけでOKです)
U25にはICソケットを取り付けておきます。(後述のシングルピンヘッダが挿入できることを確認しておいてください)
SRAMを変換基板にハンダ付けをするのはちょっとコツがいります。というのは今回使った変換基板のハンダ面よりSRAMのリード線の長さの方が長いのでハンダがうまく回ってくれないのです。
私も試行錯誤を繰り返した結果、SRAMのリード線を一度延ばして逆向き(内側へ)に折り返すようにしました。こうするとうまくハンダが回り込んでうまくいきます。
これで、32kのSRAMが完成です。
実装を楽にするためにシングルピンヘッダを取り付けておきます。
あとは、RAM容量を16Kから32kへ変更するジャンパーを取り付けておきます。
JMP12のショートしているところを切断して、反対側へジャンパーを取り付けます。リード線でジャンパーしても全く問題ありませんが、私はピンヘッダを取り付けてジャンパプラグでショートさせました。
改造ポイント2:LM324の交換
U3のLM324を交換します。オリジナルでは4,800bpsまでしか使えません。9,600bpsでは文字化けしてしまいます。UI-DIGIでは問題ありませんが、RS-232Cを経由してアプリを使う場合は取り替えておいた方が無難です。
TL084に交換しておきます。サトー電気で105円でした。
これも、SRAMと同じ要領で取り替えます。ソケットにする必要はないと思います。
改造ポイント3:クロックアップ
クロックアップをしておきます。
オリジナルでも特に問題ないようですが、動作クロックを倍にしておきます。
JMP2のショートしているところを切断して、反対側へジャンパーを取り付けます。これもリード線でジャンパーしても全く問題ありませんが、オリジナルに戻すことができるようにピンヘッダを取り付けてジャンパプラグでショートさせました。
改造ポイント4:ROMのバージョンアップ
ROMの変更をします。
オリジナルのPK-80はTAPRのVersion1.2のはずです。
ナビトラマップやKing-Gate、AGWTRACKERなどのKISSモードの必要なアプリを動かすために、ROMを最新の(といってもリリースは16年前ですが)1.1.8aに焼き変えます。
ROMライタは秋月電子のROMライタをもっていますので、これを利用します。
PK-80から抜いたROMを紫外線で消去します。
紫外線イレーサは冷蔵庫用の紫外線蛍光灯です。出力が小さいためか消去に2時間ほどかかりました。
TAPRからROMのHEXデータをダウンロードしてROMに焼き付けます。
動作チェック
ROMとSRAMをソケットに取り付けて、RS232C経由でPCに接続し、ターミナルソフトを起動します。
SRAMを取り替えていますから、パラメータはデフォルトに戻っています。
したがって、ターミナルソフトの設定は7ビット、偶数パリティです。
PK-80の電源を入れ、オープニングメッセージに32KBとうんぬんと出れば改造は完了です。
もちろん、UI-DIGIのROMを入れればUI-DIGIとして動作します。
補足1
バックアップバッテリーの電圧を測っておきます。前述のとおりPK-80は製造から20年以上経過していますので、バックアップバッテリーが消耗している可能性があります。
今回のPK-80もバッテリーが消耗していてパラメータを設定した後電源を切ると、リセットされていました。 バッテリーの電圧を測ると本来3Vあるところが、0.7Vくらいしかありませんでした。
同じ形状のバッテリーが入手できればいいのですが、今回は入手をあきらめてCR2030で代用しました。本来はやってはいけないのですが、CR2030にリード線をハンダ付けして実装しました。
とりあえずこれで設定したパラメータは保持されるようになりました。
補足2
これまで、5台のPK-80を改造してきましたが、1台だけパケットを受信してもDCDランプの点滅が不安定な物がありました。
電源を入れた直後はDCDランプがつかず、パケットもデコードしなくて、1時間ほど放置するとDCDランプが反応しはじめデコードもはじめるという症状がでていました。
あれこれチェックした結果、モノシリックフィルタのMF-10が不良だったようで、交換したところFBに動作するようになりました。
補足3
前述のようにPK-80は製造後20年以上経過していますので、中古で手に入れた場合は経年変化により
チューニングポイントがずれている可能性があります。
マニュアルにはチューニングの方法が書いてありますが、中古で手に入れた場合はマニュアルがついていないことも考えられるのでマニュアルから抜粋しておきます。(一部調整がスムーズにいくように表現を変えています)
[送信ロー・トーンの設定]
1.R78を右方向に半回転ほど回し、周波数を少し低くしておきます。
2.「cmd:CALSET 438]を実行してリファレンス周波数を1,200Hzに設定します。
3.[cmd:CALIBRA」を実行して、校正ルーティンに入ります。
4.JMP9のピン1と6の間、JMP4の2ケ所にジャンパーを差し込みます。
5.コンピューターの[K]のキーを押し、「STA」か「CON」のLEDが点灯することを確認します。
6.[SPACE]バーで点灯するLEDが変化しますから、「CON」のLEDを点灯させてください。
7.両方のLEDが同時に点灯するまで、R78をゆっくり左方向に回して行きます。
8.回し過ぎて他方のLEDだけか点灯するようになれば、R78を反対方向に回します。
9.両方のLEDか安定して点灯すれば、コンヒューターの[Q]のキーを押します。
10.コンピューターに「cmd:」が表示され、両方のLEDが消えたら終了です。
[送信ハイ・トーンの設定]※必ず、ロー・トーンの設定に続いて行ってください。
11.R77を左方向に半回転ほど回し、周波数を少し高くしておきます。
12.「cmd:CALSET 239」を実行してリファレンス周波数を2,200Hzに設定します。
13.「cmd:CALIBRA」を実行して、校正ル一ティンに入リます。
14.コンピューターの[K]のキーを押し「STA」か「CON」のLEDが点灯することを確認します。
15.[SPACE]バーを押して、「STA」のLEDが点灯するようにします。
16.両方のLEDが同時に点灯するまで、R77をゆっくり右方向に回して行きます。
17.両方のLEDが安定して点灯すれば、コンピューターの[Q]のキーを押します。
18.JMP9とJMP4からシャンパーを外します。
[受信デモジュレーターの中心周波数の設定]
20.JMP8のジャンパーを外し、R79を右に半回転ほど回します。
21.「cmd:CALSET 157」を実行してリファレンス周波数を1,685Hzに設定します。
Z2.「cmd:CALIBRA」を実行して、校正ルーティンに入ります、
23.JMP9のピン2と5の間にジャンパーを取り付け、「CON」LEDが点灯することを確認します。
24.両方のLEDが同時に点灯するまで、R79をゆっくり左方向に回して行きます。なお、両方又は一方のLEDが瞬いて点灯していても構いません。
25.JMP9からジャンパーを外し両方のLEDが消えることを確認します。
26.コンピューターの[Q]キーを押すと、「cmd:」が表示されます。
27.JMP8にジャンパーを取り付けたら、調整は完了です。
総括
まだまだPK-80もいけますよ。改造も1台あたり1,000円以内で終わると思います。
やってみようという方でROMライタをお持ちでない方は私の方で焼いて差し上げられますので、メール(jr6cum<アット>jarl.com)までご連絡ください。
最近は、使う予定がないのにヤフオクでPK-80を見つけるとつい落札ししまいます(^_^;
(5台になったPK-80)
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